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 CONCEPT


初めて見たときに,とても美しいと思った.。

その景色は,ある写真家の廃墟をテーマにした写真集の中にあった。

座面と背もたれが,外れてなくなった,黒いパイプだけになったイス。
それが,工場の跡地だったところに,‘ ぽつん‘と置いてある。
そんな写真。
 


久しぶりに,その写真集の頁をゆっくりとめくってみた。


high-kyo」と名づけたこの店で
「なぜ古いものが好きなのか」
という質問が頭に浮かんできた。
「どうしてなのかな?」


なかなか,適当な答えが見つからない。

ならば,何故,「廃墟」に魅かれたのか?
と,質問をかえてみる。

「ふーむ」
考え抜いて,やっと答えのようなものが出た。



「途中感」




そう,廃墟は「途中」なのだと。
そして,古道具もまた,「途中」なのだと。

一度,自然を人間の手によって文明のために使用し,そして不要になったら,人間は,いつも,それらをほったらかしにしたままで。
けれど自然は,そう自然に戻る力は,ゆるやかではあるが,確実にもとの姿に自然に帰っていくことを,強く感じた。

「途中感」
自然に還る途中。
きっと,その自然に還る途中の姿形に,えもいわれぬ美しさを感じたのだろう。

人もまた,いつも「途中」にいる。

人生の「途中」,何かに向かっている「途中」。そして,夢の「途中」。

この「途中感」を楽しむために,古いものとつき合っている。
好きなものや,好きな事といつも一緒にいようと思う。
そして,大好きな人たちと一緒に。

今日新しく生まれたものも,年月を経るとともに
元の形へと戻る旅をはじめる。



                                千村 幸弘






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